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不動産の2重譲渡と登記の重要性について 杉山

皆さん、こんにちは杉山です

今日は不動産の2重譲渡と登記の重要性についてお話させて頂きます。
2重譲渡とは、1つの不動産を2人以上の人に売ってしまう事です。
普通に住宅ローンを組んで不動産を購入する分には、あまり縁の無い話かもしれませんが
投資不動産を現金で購入する場合など、関係してくるかもしれません。

2重譲渡が何故起こるのかと言う話の為に、少し法律について書かせて頂きます。
まず、不動産に限った事ではありませんが、民間人や民間企業の物の売買について規定をしているのは民法の債権編です。
(物件と債権の違いや、債権が何かと言った説明は今回は割愛します。)

その民法とは、どういった立場の法律かと言うと、
『私法』であり『一般法』の『実体法』です。
法律の分類方法は、一般的に3つあるのですが、簡単に説明すると
○公法か私法
これは、公法とは公務員や国家と言った所に対しての法律で、私法とは民間人や民間企業に対しての法律です
○一般法か特別法か
一般法とは、元々存在していて広く一般基準となる法律。特別法とは一般法の中から、一部の規定についてより細かく定めたものです
例えば、商法は民法の中から、商事行為を抜き出して細かく定めており、民法の特別法と言う扱いになります。
○実体法か手続法か
実体法と言う概念は理解しにくいのですが、ある行為によって実際に権利移転等が発生する事を定めているのが実体法。
それに対して手続法とは、手続きを法律にして定めているものです。
手続法の例としては、民事訴訟法、刑事訴訟法、民事執行法などです。

つまり民法とは、民間に対する法律で一般的な事を定めており、実際に権利変動を伴う行為が定められている法律と言う事です。
不動産売買については、その民法の規定に則り取引を行うのですが、2重譲渡が起こる原因は、日本の民法が意志主義を採用している事です。
意志主義とは、売買契約等は、売る意志と買う意思が合致した時点で契約が成立すると言う事です。
つまり契約書を交わすのは、お互いの意思を証拠として残す為であって、契約の効果発生に契約書は必要ありません。
(海外などで形式主義の民法を取り入れている国では、契約書を作成して初めて契約の効力が発生する所もあります。)

売る意志と買う意思の合致があれば、契約は成立するのですから、対象となる不動産が一つであっても色々な人に売る事は可能になります
このような事から被害を避ける為に、日本では不動産について登記制度を設けています。
しかしながら、登記は完全に実体を反映しているものでもなければ、記載されている事を保証しているものでもありません。
一般的に、登記上『所有者』と記載されていれば、その人が所有者なのだろうと考えますが、必ずその人が所有者だとは限りません。
そして、登記はその記載事項を保証しているわけではありませんので、所有者と思って取引をしても、実際には所有者でなかった場合その不動産を取得する事は出来ません。

例えば、1人の人に対して自分の不動産を売ったとします。そして、登記を移転する前に別の人に、同じ不動産を売ります。
2番目に買おうとする人は、登記簿に所有権として売主の名前がある為、信用して買ってしまいます。
しかし、日本の民法は意志主義なので、1人目に売った時点で、不動産の所有権は1人目の買主に移転しており、2人目に売る時には、売主は何ら権利を持っていません。権利の無い人から購入しても2番目の買主は、権利を取得出来ません。
これが2重譲渡です。

この2重譲渡ですが、ではどうやって解決を図るかと言うと、ここで登記が生きてきます
登記は、記載されている内容が真実であると保証はしていませんが、権利関係を争う相手に対しては対抗要件になります。
つまり自分が所有者だと主張する人が2人いる場合、登記に記載されている方が所有者であると推定される事になります。
(推定であって、看做しているわけではないのですが、専門的な話になりすぎるのでそこまでは書きません)
そして、この2重譲渡問題では、先に所有権の登記をした方が所有者となる事で解決します。

余談ですが・・・
これは民法177条による所ですが、ここで疑問が出てきます。
対抗要件とは、権利関係を争う者に対してであって、そこに無権利者は含まれません。
2番目の所有者が購入した時点では、前所有者は既に所有権を譲渡しており無権利者です。無権利者から購入した2番目の所有者も無権利者に過ぎず所有権を取得する事は出来ません。
しかし、1番目の買主より先に2番目の買主が登記を備えれば、1番目の買主に対して自分が所有者であると主張出来るようになります。
これを説明する為に、昔から民法学者の先生達が色々な学説を唱えてくれています。
私は、民法94条2項を類推適用すると言った考え方が一番納得できるのかなと思っています。

長くなってしまいましたが、今回お伝えしたかった事は、
登記は、記載されている内容を保証していない。
しかし、登記をしなれば所有権を失う事もある為、購入したらすぐに登記をしなければいけない。
登記の重要性について、おわかり頂けましたでしょうか。
投資物件などで住宅ローンを使わない場合や、個人間で直接不動産を買うと言った場合は注意が必要です。